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予防接種の現状と課題について

2013年07月17日

先日(6月27日)、久留米大学小児科の津村直幹先生をお招きして、
第200回宮崎市郡小児科医会学術講演会「最近の予防接種の現状と課題」が行われました。

とても有意義な内容で、大変勉強になりました。
以下に簡単なまとめを記しておきますので、御参照下さい。

 

【世界のがんの原因について】

・がんの原因の18%が慢性感染症 ← ワクチンで防げる!

 

【がん予防ワクチンには】

B型肝炎ワクチン、子宮頸がんワクチンがある

 

【小児B型肝炎ウイルス感染症の現状】

・ウィルスがキャリア化している
・母子感染65%、父子感染 24.5%、兄弟間 3.5%、その他 7%

※水平感染した小児のHBVワクチン歴なし

 

【B型肝炎の疫学(世界)】

・ 全世界で3.5億人のB型肝炎ウイルスキャリア。(2億人以上がアジア在住)
・ HBV関連疾患による死者は、全世界で年間100万人以上。(死亡順位の10番目。アジアとアフリカに多い)

 

【子宮頸がんワクチン】

<子宮頸がんの原因ウイルス>

・HPV16型:50%、HPV18型:20%

<子宮頸がんワクチンによる副反応報告>

・サーバリックス:91件/695万7386接種機会(0.0013%)
・ガーダシル:15件/168万8761接種機会(0.0009%)
・上記副反応で、複合成局所疼痛症候群(CRPS)は3例報告。
・CRPSは神経因性疼痛の代表疾患。外傷、採血、注射などがきっかけ。

 

【肺炎球菌ワクチン】

 現在、我が国の疾患別死亡原因の第3位は肺炎であり、肺炎の原因の約25〜30%は肺炎球菌といわれている。

 新しく定期接種へ。その究極の目的は細菌性髄膜炎を中心とした小児浸襲性感染症の予防。

<疾患別の年齢分布>

・ 3ヵ月未満で肺炎球菌髄膜炎あり。←生後2ヵ月からワクチンデビューが重要。
・ 生後6ヵ月から急激に肺炎球菌非髄膜炎の発症数が増加。←母親由来の移行抗体が減少する影響。

 

【BCG】

<BCGによる骨炎・骨膜炎>

・2001〜2004年度(対象が4歳未満):計4例(年平均1例)

・2005〜2010年度(生後6ヵ月未満):計18例(年平均3例))

→今年4月から、1歳に至るまで。(標準:生後5〜8月未満に変更)

 

【ロタウイルスワクチン:感染の特徴】

<ロタウイルスの感染経路として、糞口感染が主である>

・ 1gの糞便中に1000億個のウイルスが存在。

・ 接触・飛沫感染の可能性も考えられる。

<感染力が強い>

・ 1〜10個のウイルスが口に入るだけで感染が成立すると言われている。

<安定したウイルス>

・ 器物やテーブル上でも最低数時間は感染力を保持でき、おもちゃからの検出例もある。

・ 石鹸や一般的に用いられている除菌剤に対して比較的耐性がある。

<ロタワクチン接種時期>

・WHOはどちらのワクチン(ロタリックス、ロタテック)も14週6日までに初回接種を終えるよう勧奨。

 

【MRワクチン】

<妊婦の風疹罹患時期と先天性風疹症候群>

妊娠初期になりやすい。(2週:60% 4週:40% 10週:20% 16週以降は低いが0%ではない)

<MRワクチンの接種時期>

 2013年度から2期までの接種。→95%以上の接種率を!

作成者:小児科スタッフ

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