いつの間にか私たちの生活にあふれている「電子映像メディア」。
情報化社会にとっては不可欠となっていますが、メディア漬けの実態が明らかになり、子どもの生活習慣が大きく様変わりし、からだと心の発達段階にある子どもたちへの影響をきちんと考える時が来ています。
*小児科医もメディア漬けに警鐘*
幼児期は、「小さな言語学者」と呼ばれるように、話し言葉の基礎が確立する大事な時期です。
また、「睡眠、排泄、食事、着脱衣」などの基本的な生活習慣が形成される時期でもあります。
小児科や小児保健の研究結果から、テレビ・ビデオの長時間視聴と言語発達の遅れや生活習慣の形成に関連があることが明らかになっています。
「言葉の発達が遅れる」
テレビ・ビデオの視聴時間が長くなるほど発語の遅れの発生頻度が高くなることが示されています。
子どもは、自分の体験や養育者との双方の関わりの中で発達していきます。
光と音刺激が一方的であるテレビ・ビデオが長時間に及ぶと、この直接的な体験や双方向性の関わりを阻害するのでしょう。
「生活習慣が育たない」
視聴時間の短い幼児は、就寝時刻が早く、起床・睡眠のリズムが規則正しくなり、食習慣や排便習慣も良好です。
それに対し視聴時間の長い幼児は、就寝時間が遅くなり、睡眠時間が短くなると共に、就寝・起床のリズムも不規則となる事、そして朝食摂取が十分でなく排便習慣も不良であることが報告されています。
*幼児期こそ「ノーテレビ・ノーゲーム」*
ノーテレビは、「テレビを見ないこと」が目的ではありません。
当たり前になっている「どっぷりテレビ漬け」を止めてみることで何が失われていたのか?
何を得ていたのかをちゃんととらえて見直すことです。
1. 食事の時のテレビオフ
2. 月に1日朝から寝るまでノーテレビ
3. 年に1回、1週間続けてノーテレビ
これのどれかからスタートしてみましょう。
3歳以下の乳幼児のいる家庭では「ためしに1週間ノーテレビ」をやってみると子どもの遊びや言葉、表情などがかなり変わることが報告されていますので、ぜひお勧めです。
*「子どもとメディア」の問題に対する提言*
① 2歳までのテレビ・ビデオの視聴は控えましょう。
② 授乳中、食事中のテレビ・ビデオの視聴はやめましょう。
③ 全てのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。
1日2時間までを目安と考えます。テレビゲームは1日30分までを目安と考えます。
④ 子どもの部屋には、テレビ、ビデオ、パソコンを置かないようにしましょう。
⑤ 保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールを作りましょう。