抗生剤は、細菌感染に対して有効な治療薬です。
この薬のおかげで私たちは多大な恩恵を受けてきました。
一方で、「発熱の90%はウイルス感染症。ウイルス感染に抗生剤は無効。」
これは、医学生で微生物を教わった人ならば誰もが知っている知識です。
しかし、実際の臨床の現場では不必要な抗生剤の使用が続いています。
抗生剤を頻用すると我々医師に不利益なことがあります。
抗生剤の頻用は耐性菌を作り出し、本当に抗生剤が必要な時の治療が困難になります。
また、培養を取る前に抗生剤を使い始めると、起炎菌が分からず抗生剤の変更が難しくなります。
多様な薬がありますが、副作用のない薬剤はありません。
抗生剤も同様で、下痢、肝機能、腎機能障害、アレルギー反応といった合併症が起こりえます。
まさしく、不必要な抗生剤使用は、「百害あって一利なし」です。
臨床の場で、感染症を診る医師に必要なことは、多くの発熱者の中から数%しかない細菌感染症者を見分け、必要な患者さんに必要な抗生剤を処方することです。
発熱者に対し、全例抗生剤を処方するのであれば医者は必要ないでしょう。
繰り返しますが、ほとんどの風邪に抗生剤は無効です。
親御さんは、薬を処方してもらうだけでなく「なぜ内服させる必要があるのか?」という視点をいつも持っていて欲しいです。